本日は、相続手続を失敗しない第三回目になります
テーマとしては相続手続き失敗事例についてお話させていただきます
相続財産といいますと、一般的には不動産や車、投資信託、株、貴金属や骨董品、ゴルフ会員権などの資産だと思われています。
実は、それ以外にも借金などの負債も相続財産となります。
あるお客様の相続手続の依頼で
被相続人の財産調査をしていると自宅以外にも不動産があることがわかりました。
その不動産は依頼者の本籍地の京都府北部にあり、登記簿上「山林」、現地確認もしてきましたが「山林」でした。
名義はご本人の曽祖父(ひいおじいさん)名義で、その相続人が長年、遺産分割協議をしてこないまま、現在に至る状態です。
ひいおじいさんは天保生まれで、長男が家督相続(旧民法時代以前の相続)をしたこともわかりました。
長男も結婚せずに亡くなり、次男(依頼者のおじいさん)が家督相続(旧民法時代の相続)をしていることも判明しました。(ここまでは順調に戸籍が存在し調査ができました)
ちなみに、天保って、日本史が好きな方は聞かれたことがあると思いますが「大塩平八郎の乱」が天保8年(江戸時代で西暦1837年)に起きています。
日本の戸籍制度はすごいですね。そんな昔のことまで分かるケースもあります。
明治時代の後半に、おじいさんが京都市内に本籍地を転籍(明治時代)されたことにより、ちょっと、大変なことになってきました。
戸籍の保存期間経過により、おじいさん、その子供達の一部(依頼者の叔母さん、叔父さん)の死亡年月日の記載のある戸籍が出てこない、ということが判明しました。
おじいさん、叔父さん、叔母さんいずれも明治生まれで死亡していることは推定はできます。
古い戸籍と最近の戸籍はあるのに真ん中の戸籍がないという状態です
ご本人の菩提寺(お寺さん)にも確認しましたが過去帳、位牌、家系図等も存在していないことも判明いたしました。(依頼主のお母様がひいおじいさんの直系の子孫にあたりましたので、ひいおじいさんのお寺と違いました)
おじいさん、叔父さん、叔母さん、お母さんが、いつ、どういう順番で亡くなったか、また、叔父さん、叔母さんに子供がいるのか、いないのかも相続分に影響があるのですが、いずれにせよ、相続人にあたると推定されます。
通常、相続登記手続は書類(戸籍)を読み取り、相続人の確定をした上で、必要な書類(遺産分割協議書等)を作成した上で行っていきます。ただし、推定では書類が作れません。
司法書士として20年以上活動してきましたが、今回のケース、もしかしたら、相続登記が書類上、できない、初めてのケースとなるかもしれません。
長年、手続きをせずに放置していたことにより、膨大な量の戸籍取り寄せが必要になった。にもかかわらず、相続人及び相続分の確定が困難となってしまった。
山林で境界が不明である。これから先の管理等考えると、明らかに費用倒れとなってしまい、誰も相続したがらない。
固定資産税がかからないほど安いので、ご先祖様が山林、田畑等を所有していたことすら、把握していない。
家庭裁判所で相続放棄をしたいが他の財産を相続してしまって、放棄が出来ない。
山林についてはおそらく、こういったケースが日本中に、たくさんあると思います。
管理が出来ないのであれば、隣接の所有者等に売却をしておく等の早めの手続きを行うことによって失敗しなかったのかもしれません。
本来、資産であるはずの不動産が「負動産」となってしまわないように気をつけておきましょう。将来、自分の子や孫が困らないように早め、早めに手続きを行っておくことが肝心かと思います。
最後までご覧頂きましてありがとうございました。