こんにちは、田中です。
本日は、先日の投稿の続きとなります。
先日の投稿では、遺産分割協議のおおまかな流れをご紹介しました。
しかしながら、相続が開始したら必ず遺産分割協議を経なければならないわけではありません。
今回は遺産分割協議が必要ないケースをご紹介していきます。
この記事の目次
【遺産分割協議が不要なケース】
遺言書が残されている場合
遺言書が残っていると、その内容が優先されることになります。そのため、すべての遺産についての処分方法が記載されていれば、遺産分割協議は不要となります。
この点において、遺産分割協議がまとまらず、「相続が争続になる」といったトラブルを、未然に防ぐことができる遺言書を残しておくことにはメリットがあると言えます。
また、「すべての相続財産」と書きましたが、これは遺言書に処分方法が記載されていない遺産については、別途遺産分割協議が必要になるということです。
相続人が一人である場合
相続人が一人の場合、協議を行う他の相続人が存在しないため、遺産分割協議は不要となります。その一人の相続人がすべて遺産を相続します。
相続人が誰もいない場合
相続人が一人も存在しない場合も、遺産分割協議は不要です。相続人がいたが相続放棄等で一人も相続人がいなくなった状態も同様です。
この場合、遺産は相続財産管理人という者を選任して清算手続きが行われていきます。
相続財産管理人は、相続放棄をした相続人であった人、被相続人に対しお金を貸していた等の債権を持っていた債権者、被相続人と生前特別な関係にあった人(内縁の妻、相続人ではないが色々お世話をした人)などが選任の申立てを家庭裁判所へ行います。
法定相続で相続する場合
相続人が複数存在する場合でも、法定相続分(法律で定められている相続分)で相続する場合には遺産分割協議は必要ありません。
例えば、相続人が配偶者と子ども2人の場合、それぞれの法定相続分は配偶者2分の1、子ども①4分の1、子ども②4分の1です。
この場合に不動産を相続して名義変更を行うと、配偶者と子ども2人が上記の割合での共有名義となります。
不動産を共有名義にしておくと、後々売却する際やお金を借りて担保権を設定する際には、共有者全員の手続きへの関与が求められてきます。また、上記の例で子どもが結婚している場合に、亡くなってしまうとその子どもの配偶者が相続で共有の名義人に入ってくることもあります。
そういったことを望まないのであれば、遺産分割協議で特定の相続人の単独名義にしておくほうが無難であると言えます。