令和3年4月に相続登記義務化の法律が成立しました。法律が始まる日(施行日)は決まっておりませんが、相続登記を正当な理由なく行わなかった場合には10万円以下の過料が発生する、という法律です。
不動産の所有者が亡くなられた事による不動産の名義変更(相続登記)には、「何ケ月以内に完了しないといけない」、というような期限は今の法律では決められていません。相続税の控除額を超えるような遺産を相続する場合には、税金の関係では、4カ月以内に準確定申告、10ケ月以内に相続税の申告をしなければならない、というものがあります。
今はまだ、期限がないからといって、不動産の名義変更をせずにそのままにしておくと次の相続が発生して(数次相続)、相続人が増えてしまって、遺産分割協議が成立しない、ということが度々あります。そうなると、家庭裁判所を利用した調停手続や審判など第三者の関与が必要となり、時間・費用・精神的な心労が余計に発生してしまうことになります。
そのようなことになる前に、大事な財産を次の世代へ確実に移していくお手伝いをしていきます。
この記事では、相続登記の全体的な流れと、注意点を説明していきます。
この記事の目次
不動産の調査-相続登記漏れを防ぐ
亡くなられた方(被相続人)の不動産はご自宅の土地建物だけ、とよく思われていますが、その敷地に隣接している非課税の道路も所有していた、本籍地の市町村に父親や祖父名義の山林や田畑が残っていたなど、色々と不動産に関するトラブルを将来に残さないように専門家が調査いたします。不動産の調査の方法としては、被相続人の名寄帳を請求する方法、公図や地積測量図を取得して現地で確認する方法、権利証や固定資産税の課税明細書を見て確認する方法があります。不動産の調査が抜け落ちたために、道路部分の名義変更(相続登記)ができていなかった、ということにならないようにしましょう。
戸籍の取得・調査-相続人を確定するために
不動産の名義変更には亡くなられた方(被相続人)の出生から死亡時までの連続した戸籍が必要になりますが、一般の方にとって戸籍は読み解くのは非常に困難な作業です。なぜ、出生から死亡までの連続した戸籍が必要になるかといいますと、昔の戸籍に記載された事柄が現在の戸籍には記載されない、というルールがあるからです。
具体的には、30年前、養子縁組をして養子をもらった。そのあと、養子が結婚した。
たったこれだけのことですが、今年養親に相続が発生した場合の最新の戸籍謄本(戸籍の全部事項証明書)には、養子がいること自体記載されていません。
それ以外にも
自分の母親が実は20年前に再婚していた場合で、前の婚姻時に子供がいたということも、現実にありますが、その子供が結婚していた場合には今の母親の戸籍には記載されません。
つまりは、昔からの現在までの連続した戸籍をすべて揃えないと、相続人が誰なのか、ということは確定できません。
戸籍には戸籍の全部事項証明書、改製原戸籍謄本、除籍謄本とあります。
平成6年に法律改正で戸籍をコンピューター化することで新しくできたものが戸籍の全部事項証明書、法律改正前の戸籍のことを改製原戸籍(かいせいはらこせき)と呼びます。
除籍謄本とは戸籍に載っている人が全員が婚姻、転籍、死亡したことにより誰もいなくなった場合に除籍謄本と呼び名が変わります。
戸籍は本籍地をおいている市区町村役場役所でしか取得できません。特に転勤族であった方に多いのですが転籍を繰り返している場合に、全国各地に戸籍謄本を請求しないといけないケースもあります。こういった困難な戸籍の収集を専門家にお任せいただくこともできます。
法定相続証明情報一覧図の作成・取得-相続手続きを簡単にするために
平成29年5月29日から、全国の法務局において、各種相続手続に利用することができる「法定相続情報証明制度」が始まりました。凍結された銀行の預貯金の払い出し、名義変更手続や証券会社における相続手続、相続税の申告をする際や年金事務所の相続手続きの際に、被相続人の出生から死亡時までの戸籍の束に代わりに提出することが出来るようになっています。
提出先、受領する法務局はどこでもできるということではなく、一定の管轄が決まっています。
①被相続人の最後の本籍地を管轄する法務局
②被相続人の最後の住所地を管轄する法務局
③申出人(相続人)の住所地を管轄する法務局
④被相続人名義の不動産の所在地を管轄する法務局
と選べるようになっています。
遺産分割協議書の作成・遺産分割協議の立会-後日の紛争を未然に防ぐために
遺産分割協議書とは、遺言書がない場合に、被相続人の遺産を相続人全員の話し合いで、誰が何を取得することになったのかを話し合いをすることです。話し合いが成立してもそれを正確に書面に残さないと後日争いのもとになる可能性もあります。そのようなことがないように当事務所において書類を作成します。その書類のことを遺産分割協議書といいます。
また、遺産分割協議書を作成するために専門家として第三者の立場で遺産分割協議の場に立ち会って、正確な遺産分割協議書を作成することのお手伝いもしております。
ポイントとしては、判断能力のある相続人全員の合意が必要ということです。一人でも協議に参加していなかったり、相続人が認知症の方であったり、赤ん坊という場合もありますが、判断能力がないものがいる場合には、遺産分割協議そのものが無効となってしまいます。ただ、相続人全員が一か所に集まって顔をあわせて、話し合いをする必要はありません、電話など場合によってはメールでも、一般的には誰か一人が、遺産分割協議の案をだして、その案に他の方が同意をする、というケースが多いと思われます。
相続登記の手続(不動産の名義変更)
相続登記の申請書の作成、必要書類の作成、一般の方にとっては、非常に困難な作業も伴います。登記の専門家である司法書士にご依頼いただくことで、依頼者の大切な権利である所有権を確実に相続人に名義変更をさせて頂きます。法律が施行してから駆け込みで依頼をすると混んでいる可能性がありますので、時間のあるときに早めに依頼するようにしましょう。
京都でも長期間相続登記をせずに放置している方がたくさんいます。法律が施行されてから相続人である旨、申し出をする相続人申告登記(仮称)もできるようになります。この登記をすることによって過料は発生しないようですが、相続登記が完了するわけではありませんので要注意です。
税金に関する相談
相続税が発生するのか、また、どうすれば節税対策、相続対策になるのかを元木司法書士事務所の顧問税理士と一緒にお話を伺うことも可能です。
要予約ですが土日祝日も対応していますのでお問い合わせください。
手続費用に関して
一般的な相続登記にかかる費用の見積りを元木司法書士事務所は、無料でお知らせしております。
所有権移転登記報酬 43000円~
戸籍等取得 1通あたり 2000円
遺産分割協議書作成 30000円~
法定相続証明情報取得 25000円~ 相続関係説明図作成 15000円
不動産の名義変更(相続登記)手続き以外に、相続によって凍結された銀行や信用金庫の預貯金の払い出しの手続きなどもサポートできますので、お尋ねください。
相続した不動産の売却を希望される場合や相続対策を検討されている場合には、元木司法書士事務所と提携している大手不動産仲介業者、大手ハウスメーカーをご紹介することも可能です。