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家を買うとき親から贈与 兄弟でもめないために知っておきたい「特別受益」

投稿日:2018年8月27日 更新日:

特別受益とは寄与分とともに、遺産分割協議で考慮する制度です。

特別受益とは、被相続人から生前に贈与を受けたり、遺贈で受けた財産のことをいいます。被相続人から生前贈与や遺贈を受けた相続人と受けていない相続人がいるとしたら、この分を考慮しないと他の相続人と不公平になってしまいます。

ココガ大事➝相続人でない者に対する生前贈与や遺贈は対象外になります。つまり、実の子供の配偶者に対する生前贈与や遺贈については特別受益とはみなされません。

この記事の目次

特別受益とされるもの

婚姻または養子縁組のために受けた贈与

結婚における持参金、支度金、嫁入り道具などが特別受益に該当します。

生活資金として受けた贈与

住宅の購入資金の生前贈与や特別な学費など、ほかの相続人とは別に、特別にもらった資金が該当します。また、私立の医大への高額な進学費用や海外への留学費用を出してもらった場合などが該当します。ただし、他の相続人も同じような学費を出してもらっている場合には特別受益には該当しません。

特定の相続人が受けた遺贈

相続人である者が遺贈によって得た財産のことを特別受益といいますが、相続人の配偶者や相続人以外の者に対する生前贈与や遺贈については特別受益とはみなされません。

 

生前贈与で将来もめないように

法定相続人の遺留分や法定相続分を意識して、生前贈与をするようにしましょう

例えば、財産総額6000万円を持っている父親、配偶者、子供2人という、普通の一般家庭の場合に、子供の一人に生前住宅取得資金として1000万円贈与したとします。1000万円であれば、配偶者やもう一人の子供の遺留分を侵害することもありません。ただし、この金額が3000万円もの金額を贈与したとすると、配偶者やもう一人の子供の将来もらえるべき遺留分を明らかに侵害してしまいます。

これでは、せっかくよかれと思って行った、生前贈与をきっかけに、親族間で争いが生じてしまう可能性があります。

 

ですので、遺留分、できれば、法定相続分を意識しながら生前贈与を行うようにすると、将来の親族間での争いを避けられる可能性が高くなります。

この場合、総体的遺留分としては6000万円のうちの2分の1の割合で遺留分があります。

 

個別的遺留分を計算していきますと、配偶者は4分の1(1500万円)、子供はそれぞれ8分の1(750万円)あります。

6000万円の財産で1000万円一人の子供に対して生前贈与して、残った財産を法定相続で相続する

 

本来、配偶者の個別的遺留分は1500万円でした。実際には法定相続分で相続出来れば3000万円相続する事が出来ました。

生前贈与1000万円を差し引いた5000万円の内、2分の1を相続すると2500万円を相続することになります。

遺留分減殺請求はできません。

 

生前贈与を受けていない子供についても個別的遺留分が750万円に対して、実際に法定相続分で相続すると1500万円相続する事が出来ました。

生前贈与1000万円を差し引いた5000万円の内、4分の1を相続すると1250万円を相続することになります。

遺留分減殺請求はできません。

 

このように、生前贈与をされる場合には、自分の死後、配偶者や子供達に遺留分がどれだけあるのか、ということを意識しながら生前贈与を行うといいでしょう。

 

 

特別受益の持戻し

相続人間の公平を図るため、特別受益分を考慮したうえで具体的に相続分を計算し直す「特別受益の持戻し」という制度があります。これは、被相続人の生前にある相続人が特別受益をうけていた場合に、その特別受益額を他の遺産額と合算して、具体的に相続分を計算し直しましょう、という制度です。

具体的には、財産5000万円を持っている父親、配偶者、子供二人という家族構成の場合で、生前に父親が1200万円住宅取得資金の贈与を子供の一人に行ったとすると、父親の残りの財産は2800万円しかありません。3800万円を母親、子供二人で分けると、不公平になります。

そこで特別受益の持戻しをすると、生前の1200万円を他の遺産に合算して5000万円を遺産があったものとして取扱をしましょう、という制度です。

持ち戻しをする場合の計算方法

1200万円(生前贈与の額)+3800万円(遺産)=5000万円

5000万円×1/2=2500万円(配偶者の相続出来る財産額)

子供の相続分については

2500万円×1/2=1250万円(生前贈与を受けていない子供)

2500万円×1/2-1200万円(生前贈与分)=50万円(生前贈与を受けた子供)

 

配偶者の相続分が2500万円、特別受益を受けた子供の相続分としては50万円とすることができ、特別受益を受けていない子供の相続分が1250万円となりました。

このように、遺産分割協議の際に、特別受益がある際には、その分を持戻して計算することによって、争いを防ぐことが出来るようになっています。

 

2000万円の生前贈与があった場合

本来の配偶者の相続分

5000万円×2分の1=2500万円

本来の生前贈与を受けていない子供の相続分

5000万円×1/4=1250万円

実際には3000万円しか残っていませんので比例配分します

3000万円×(2500万円÷(2500万円+1250万円))
19,999,999円(配偶者)・・・遺留分を超えていますので減殺請求はできません

3000万円×(1250万円÷(2500万円+1250万円))
9,999,999円(生前贈与を受けていない子供)・・・遺留分を超えていますので減殺請求はできません

 

3000万円の贈与があった場合

本来の配偶者の相続分

5000万円×2分の1=2500万円

本来の生前贈与を受けていない子供の相続分

5000万円×1/4=1250万円

実際には2000万円しか残っていませんので比例配分します

2000万円×(2500万円÷(2500万円+1250万円))
13,333,333円(配偶者)・・・遺留分を超えていますので減殺請求はできません

2000万円×(1250万円÷(2500万円+1250万円))
6,666,666円(生前贈与を受けていない子供)・・・遺留分を超えていますので減殺請求はできません

 

 

 

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