相続発生前 簡単にできない遺留分の放棄 | 絶対に失敗しない相続対策 元木司法書士事務所備忘録   

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相続発生前 簡単にできない遺留分の放棄

「相続放棄」とよく似ている手続きで「遺留分の放棄」というものがあります。どちらも「放棄」とついていて、家庭裁判所で手続きを行いますが、全く異なる手続きです。

遺留分とは、相続人に保障されている一定割合の相続分のことです。遺留分を侵害された相続人は、遺留分を侵害した者に対して遺留分減殺請求をし、自分の遺留分相当額の財産を取り戻すことができます。相続放棄は相続が発生して3か月以内に家庭裁判所に申述しなければなりませんが、遺留分の放棄は、相続が発生する前に家庭裁判所の許可を得なければなりません。ちなみに相続開始前の相続放棄の申述はできせん。

相続放棄は相続する権利自体を失う制度ですが、遺留分の放棄では、相続権自体を失うことはありません

つまり、遺留分を放棄した相続人にも、法定相続分相当の相続財産を受け取ることができます。

ただ、遺留分を放棄してしまうと、遺留分を侵害しているような遺言によって自分の相続分が侵害されたとしても遺留分減殺請求を行うことができません。

相続放棄と遺留分の放棄には以下のような違いがあります

相続開始前に遺留分の放棄をするには家庭裁判所の許可が必要になります。許可の審判においては放棄しようとする者の意思確認や、放棄をすることの合理的な理由があるかも判断されます。一般的に遺留分の放棄は遺言や贈与によって被相続人の財産を特定の者に集中して相続させることを目的にして行われます。つまり、そういった目的がないのに遺留分の放棄をさせることには意味がありません。

例えば、放棄をしようとする者が他の相続人と比べ、医大へ進学するための高額な学費、留学費用、多額の借金の整理をしてもらった等の場合に遺留分の放棄をする理由にはなると考えられます。

遺留分の放棄をする申立が却下された判決もあります。

昭和46年7月31日大阪家庭裁判所の事案です

「申立人の両親は、かねてから申立人が現在の妻との結婚に反対し、財産を申立人に与えることはできない旨主張しており、申立人と両親に第三者をまじえて申立人の結婚問題を話し合つた際申立人は結婚を翻意しなかつたところ両親は用意していた遺留分放棄申立書をとり出し申立人に署名捺印させたことなど判示事情のもとにおいては申立人が本件申立をするに至つた理由は両親からの結婚問題に関するかなり強度の干渉の結果といわざるをえないから、本件申立は日本国憲法第24条第1項の趣旨に照らしこれを許可するに足る合理的理由があると認められない。」

この事案は少し特殊で、自分の子供が結婚する相手を連れて行ったところ両親に反対されて、結婚するなら遺留分の放棄をするように申立書の内容についても両親が記載していたものです。子供が両親には内緒で結婚式場の予約をしていたのですが、それを発見した親がその挙式を勝手に取り消した。というようなところまで、審判の理由には記載されています。

合理的な理由がないと、遺留分の放棄は認められない、という事案です。

 

 

 

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