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相続で将来争わないための対策 【遺言】

投稿日:2018年5月31日 更新日:

最近自治体等が主催する登記相談・法律相談会に相談員として参加しています。そのなかで、将来相続が起こったときに相続人同士で揉めるのが心配だという相談をよく聞きます。

 

自分がいなくなった後、相続で親族同士揉めてほしくない、この人の相続が起こったら揉めることが目に見えているという人が身内の中にいるetc・・・など、相続に関する心配をお持ちの方は少なからずいらっしゃいます。

 

そこで今回は、将来の相続の揉め事を予防する手段のひとつである遺言についてお話していきたいと思います。

遺言とは、遺言者が死亡後の財産処分等の法律行為に対し、自分の意思の効力を及ぼすことができる最終の意思表示のことです。この意思表示の効力を生じさせるためには、必ず民法で定められた様式に則って作成しなければなりません(民法960条)。

 

遺言は15歳に達した人は行うことができます(民法961条)。

 

しかし、15歳以上の方が無条件に行えるわけではありません。

遺言を行うためには「遺言能力」といわれるものが必要となります(同963条)。遺言能力とは、自分の遺言がどのような内容であるかを理解する正常な判断力を意味します。これらの条件が揃わずに行われた遺言は無効となります。

 

遺言の方式には、普通方式遺言と特別方式遺言があります。今回は一般的に利用されている普通方式遺言をご紹介していきます。

 

普通方式遺言には次の方式があります。

普通方式遺言・自筆証書遺言
・公正証書遺言
・秘密証書遺言

 

この三つの方式の中で特に利用されているものが、自筆証書遺言公正証書遺言になります。

つぎにそれぞれの遺言について解説していきます。

 

自筆証書遺言遺言者が、全文、日付、氏名を自書し、それに押印をして作成する遺言。(民法968条)
自書とあるので、パソコンのワードソフトで作成したものは認められません。
【メリット】
・自分で作成するので費用が安い
・証人の立会いが必要ではないため、遺言の内容の秘密を保てる
【デメリット】
・偽造、変造、紛失のおそれがある
・自分で作成するので方式に不備がある遺言になる可能性
・遺言内容を実行するためには、家庭裁判所の検認という手続きが必要になる(=相続人が立会わないといけないため手間がかかり、迅速性に欠ける)

 

公正証書遺言遺言の内容を公証人に口授(口授できないときは手話通訳や筆談)し、公証人が作成する遺言。その際証人二人の立会いが必要。(民法969条)
【メリット】
・公証役場で保管されるため、偽造、変造、紛失のおそれがない
・公証人が作成するので法的な不備を防ぐことができる
・家庭裁判所での検認手続きが不要
【デメリット】
・遺産に応じて費用がかかる
・証人二人が必要になる。また証人が立会うことで内容の秘密が保てないおそれがある

 

秘密証書遺言遺言者が自分で遺言を作成(自筆証書遺言と異なりこちらはパソコン等で作成したものも可)し、署名押印したうえで封印し、公証役場で公証人と証人二人に提出して、自分の遺言書であること氏名および住所を申述し、公証人が、その封書に日付と遺言者の申述を記載した上で、遺言者、公証人、証人がそれぞれ署名押印して作成する遺言。(民法970条)
公証人が関与しますが、遺言自体を作るのは公証人ではない点、公証役場には作成した記録だけが残り遺言書自体は遺言者が保管する点が公正証書遺言と異なります。
【メリット】
・遺言内容の秘密が保てる
【デメリット】
・自分で作成するので方式に不備がある遺言になる可能性
・紛失のおそれがある
・自分で作成しているにも関わらず公証人等への費用がかかる
・家庭裁判所での検認手続きが必要

 

以上、代表的な遺言の方式をご紹介してきました。

それぞれ方式ごとにメリット・デメリットはあります。

 

それを比較して最終的にどの方式で遺言を残すのが良いのかを決めることになります。

 

私たち司法書士等の専門家がオススメする方式は公正証書遺言です。

 

理由は、費用はある程度掛かってしまいますが、紛失、偽造、破棄の心配がいらない、一番確実に遺言者の意志を将来に遺せる方式だからです。

 

どのようにして遺言を作成しようかと迷っておられる方は、一度専門家の意見を聞いてみるのも良いかもしれません。

 

最後までご覧頂きましてありがとうございます

 

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