公正証書遺言とは公証人が遺言の有効性を確認し、その原本を遺言者が120才になるまで公証人役場で保管される遺言書のことをいいます。公正証書遺言は、公証人が確認をするため遺言書そのものが無効にならないことや紛失・偽造のリスクがありません。ただし、その一方で作成するために費用がかかる、書類の収集が多いなどのデメリットもありますので確認しておきましょう。
この記事の目次
公正証書遺言の特徴
公正証書遺言は公証人と事前に打ち合わせをして、その打ち合わせをもとに公証人が作成します。つまり、自筆証書遺言と異なり遺言書を自筆で書く必要はありません。公正証書遺言の内容を確認して、署名捺印をするだけで作成できます。ただし、作成する当日は内容の確認と署名捺印だけですが、事前の打ち合わせが非常に大事になります。必要書類を取り寄せる作業も大事ですが、何よりも自分の思いを正確に公証人に伝えることができなければ、思ってもいなかった内容の遺言書ができあがることがあります。
公正証書遺言の保管
自筆証書遺言書の場合は火事や水害で紛失することや、その内容をよしとしない人に発見されると破棄されてしまうこともありえます。一方、公正証書遺言は公証役場に遺言者が120才になるまで保管されます。
家庭裁判所の検認手続が不要
公正証書遺言は公証人の関与のもと作成していますので、自筆証書遺言と異なり、家庭裁判所における検認手続きは不要です。
証人が二人必要
自筆証書遺言を作成する際には、証人は必要ありませんでしたが公正証書遺言を作成する際には証人が二人必要になります。自分で証人が見つけることができない場合には公証役場において紹介してくれます。証人は印鑑が必要になります。
公正証書遺言の作成は公証役場で行います
公正証書遺言を作成するには、事前の予約をした上で、証人とともに公証役場に向かいます。費用が高くなりますが、公証人に出張してもらうことも出来ます。当日の遺言書の作成は公証人が遺言者・証人の面前で読み上げて内容を確認します。事前に遺言書の案で確認はするのですが、最後の確認をした上で、遺言者、公証人、証人それぞれが署名押印します。署名押印が終われば、原本は公証人が保管し、遺言者には正本と謄本を渡してくれます。通常は、正本を遺言者が保管し、謄本を遺言執行者となる予定の方が保管することが多いです。
公正証書遺言のメリット
公正証書遺言のメリットはいくつかあります
1.形式的不備により無効とはならない
2.手元においておいた公正証書遺言が紛失しても再発行できる
3.遺言書の内容を偽造されることがない
4.家庭裁判所における検認手続が不要
5.質の高い遺言書が作成できる
1.形式的不備により無効とはならない
自筆証書遺言では細かい形式的不備により、遺言書全体が無効となってしまう可能性がありますが、公正証書遺言ではそのような心配はありません。
2.手元においておいた公正証書遺言が紛失しても再発行できる
公証役場で公正証書遺言の謄本を発行してもらえます。この謄本は遺言書と同一のものとして扱われますので、もとの公正証書遺言の正本がなくても遺言の効力には全く影響がありません。自筆証書遺言の場合には再発行ということがありませんので、新しい日付で遺言書を再度作成しなければなりません。
3.遺言書の内容を偽造されることがない
公正証書遺言はそもそも公証人が内容を作成し、原本を公証人が保管していますので偽造する余地がありません。この点においては自筆証書遺言と比べて安心です。
4.家庭裁判所における検認手続が不要
公正証書遺言は家庭裁判所における検認手続が不要なため、即時に遺言の執行にとりかかることができます。一方で、自筆証書遺言はまず、書類を集めて検認手続を家庭裁判所に申立てを行い、その期日に家庭裁判所に出向いて手続きが完了してからでないと遺言の執行をすることができません。つまり、株式や投資信託などの日々値動きをする財産が含まれている場合には、公正証書遺言を作成した方がいいでしょう。
5.質の高い遺言書が作成できる
公正証書遺言の作成には、通常、司法書士や弁護士等の専門家に依頼をして、その専門家が公証人と打合せをすることが多いです。専門家と入念な打合せを行うことにより、費用がその分かかりますが、質の高い遺言書が作成できます。
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公正証書遺言のデメリット
公正証書遺言のデメリットもあります。
1.費用が発生します
2.遺言書ができあがるまでに時間と手間がかかる
3.遺言の内容を秘密にすることが出来ない
4.平日にしか作成できない
1.費用が発生します
公正証書遺言を作成するには公証人役場に支払う手数料が発生します。また、専門家に依頼した場合には専門家にも報酬が発生してきます。
2.遺言書ができあがるまでに時間と手間がかかる
自筆証書遺言を作成するには、ペンと紙と印鑑さえあれば作成することが出来ますが、公正証書遺言を作成するにはたくさんの書類を事前に用意しなければなりません。書類を用意する時間もかかりますし、内容について打合せをする手間と時間もかかります。
3.遺言の内容を秘密にすることが出来ない
公正証書遺言を作成する場合には必ず、証人二人と公証人が立会をします。よって、少なくともその3名には遺言の内容が知られてしまいます。誰にも秘密にしておくことが出来ません。
4.平日にしか作成できない
自筆証書遺言は思いついたときに気軽にいつでも作成することが出来ますが、公正証書遺言は公証役場があいている時間、平日の昼間にしか打合せができません。
遺言書作成について司法書士元木進一よりメッセージ
遺言書を作成するということは、遺言者ご本人だけでなく、ご家族にも安心していただくことになります。私共専門家は、そのお手伝いをさせていただき、遺言者の安心したお顔をみることに喜びを感じています。また、遺留分や二次相続など遺言書作成のプロだからこそできるアドバイスがありますので、遺言書作成を検討されている場合にはご相談下さい。