相続発生後、遺言書の内容を実現するためには、多くの手続を行う必要があります。そして、遺言書の内容を実現する遺言執行者は、相続財産の管理その他遺言の執行に必要な一切の行為をする権利義務を有しています。遺言執行者がいる場合には、相続人は、遺言の対象となった相続財産の処分その他遺言の執行を妨げるような行為は一切禁止されています。そして、この規定に反した相続人の行為は無効となります。遺言執行者がいるにもかかわらず、相続人が勝手に財産を売却した場合は、その売買契約自体が無効となります。
身内の方の遺言書に遺言執行者として指定されているご家族の方も多いと思います。そこで、遺言執行者になる予定の方、また、今まさに遺言執行者として業務を行っている方のために、何が出来るのか、また何をしなければいけないのか、を確認していただきます。
この記事の目次
遺言執行者に就任した際の具体的な業務
1.相続人・受遺者へ遺言執行者に就任した旨を通知する
2.相続財産の調査、保管、管理
3.相続財産目録を作成して相続人へ交付する
4.受遺者に対して、遺贈を受けるかどうかの意思確認をする
5.遺言書に遺産を売却してお金で相続させる内容の場合には、その遺産の売却を行います
6.遺言による認知がある場合、市町村役場に戸籍の届出をする
7.相続人を廃除する旨の遺言がある場合、家庭裁判所に廃除の申立てを行う
8.不動産の遺贈がある場合については、義務者として所有権移転登記手続の申請をする
9.預貯金の解約・払戻し、貸金庫の開扉、有価証券その他財産の名義変更等の手続を行う
10.受遺者に財産を引渡す
11.遺言による信託の設定がある場合、信託財産の受益者への引渡や受益者への通知を行う
12.遺言執行が完了していない間に遺留分減殺請求を受けた場合の対応
13.遺言の執行に必要な一切の行為
14.全ての手続き終了後、相続人や受遺者全員に業務完了通知をする
上記のように遺言執行者が行うべき業務をあげてみました。全てが大事な業務です。特に1及び3については、この通知を行わないことにより遺留分減殺請求の機会を失ったとして、損害賠償請求を受ける可能性があります。
相続人・受遺者へ遺言執行者に就任した旨を通知する
遺言執行者は、相続が発生したら速やかに遺言書の写しを相続人や受遺者に対して遺言執行者に就任したことを通知する必要があります。
相続財産の調査、保管、管理
相続財産を調査し、相続人による預かり金など、相続財産と思われる財産を自己の管理下におき、善良な管理者としての注意義務をもって、その財産を保管する必要があります。預貯金などは死亡日における残高証明書を発行してもらう必要があります。
相続財産目録を作成して相続人へ交付する
相続財産の調査、保管、管理ができたら、各相続人へ相続財産目録を作成して交付する必要があります。
遺言の実現のために必要な一切の行為
遺言書に「預貯金を配偶者に全て相続させる」という内容があれば、そのとおりに執行することになります。
基本的には速やかに全ての作業を行っていく必要があります。職務を怠っていたりすると解任請求されたりする可能性があります。遺言執行者に一般の方が就任することがデメリットになるかどうかは人それぞれになりますが、「手間がかかる」ということが一番のデメリットかもしれません。また、上記の内容の法律知識も必要になりますので、知識と経験の豊かな専門家のサポートを受けながら手続きをすすめていくことが望ましいといえます。
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