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これからの認知症対策はこれ 家族信託①

投稿日:2018年4月17日 更新日:

先日、お客様より、最近よくある問い合わせがありましたのでご紹介していきたいと思います。

内容としては

高齢の両親が実家に二人だけで住んでいる」 「なんとかして」

これだけの情報

最近、こういう内容の相談が非常に多いので

私も最近はなれたもので

「自宅の名義は誰ですか、自宅以外に不動産はありますか」

「預貯金はどれぐらいありますか」・・・・・・

といくつか質問させていただきました。

内容をまとめますと
高齢の両親が実家で二人だけで住んでいる。子供は二人、子供達は結婚して子供が生まれ、それぞれ自宅があります。両親が高齢になってきたので、将来に備えて、何とかしておきたい。預貯金はどれぐらいあるかは不明。両親ともに今は元気で頭はしっかりしている。子供と同居はどうやら無理そう。

最近非常に多いケース
こういった場合に今までは、
①任意後見契約の締結
②遺言書作成      
③生前贈与、生命保険等による生前対策、相続対策、相続税対策

今まではこの3つの方法の組み合わせで対策をしてきました

ただし、デメリットがあります

それは、認知症が発症すると、それ以降は相続対策がとれなくなってしまう、ということです

 

これは、結構たいへんです。相続対策がとれない、ということは、相続税対策ができない。つまり、ドン、と税金が発生するかもしれない、ということです。

そこで、私の立場で認知症対策として、おすすめできる制度が「家族信託」という制度です。
認知症になっても大丈夫なようにするだけで、認知症の予防ではありません。
予防については、お医者さん達に頑張ってもらうしかありません。

 

みなさん、信託ときかれるとおそらくでてくるのは「投資信託」 「〇〇〇〇信託銀行」でないかと思います。

家族信託は、ここ数年になってから、クローズアップされてきた契約になりますので聞かれたことがない方も多いと思います。

これが、なかなか使い勝手のよい契約なんです

私も、信託法が改正されてからしばらくの間は、家族信託が本当に生前対策、相続対策として使えるのかどうか様子をみていました。今では、色んな事案がでてきましたので、また、信託についてかなりの勉強をしましたのでプロとしての知識をお客様に伝えることができるレベルになりました

そこで信託について、どういう点で使い勝手の良いものなのかを、数回に分けて紹介していきたいと思います。

 

 

まず、家族信託とは家族間で契約を結び一定の目的(信託の目的)に基づいて、自分(委託者)の財産を、信頼できる人(受託者)に託し、受託者が、利益を受ける人(受益者)のために、委託者の代わりに財産管理を行う制度になります

言葉だけでは、なんのことか、よくわからないので

先ほどの具体例にあてはめてみましょう
高齢の両親が実家で二人だけで住んでいる。自宅の名義は父親。子供は男二人、子供達は結婚して子供が生まれ、それぞれ自宅があります。両親が高齢になってきたので、将来に備えて、何とかしておきたい。預貯金はどれぐらいあるかは不明。両親ともに今は元気で頭はしっかりしている。両親と子供の同居はどうやら無理そう。
            ↓
父親と母
の老後の安心設計のため(信託の目的)に、父親(委託者)の財産を、長男(受託者)に託し、受託者が、父親と母親(受益者)のために、  父親(委託者)の代わりに財産管理を行う

簡単に言うと長男におまかせってことですね

このとき

①父親が「委託者」、長男を「受託者」、最初の「受益者」を父親、父親が死亡した時の次の「受益者」を母親としておく
②信託の目的は
「両親の老後の安心設計のため」
「高齢な配偶者の財産管理のため」
「認知症配偶者の財産管理のため」
③信託財産は「自宅」及び「預貯金」
④信託終了の時期を両親が共に死亡した時とする
⑤受託者である長男が信託契約存続期間中に死亡した際には、次の受託者として次男を指定しておく
⑥残余財産は長男に承継する、長男死亡時には次男に承継する

と信託契約をしておくと、

・父親が死亡しても母親は、今までどおり自宅に住むことができます。(ここまでは通常の相続と異なりません)
・父親が将来、認知症になった場合でも、長男がその自宅を売却することができます(成年後見制度を利用しないと通常はできません)
 →通常、父親が死亡した際には、母親と子供達のあいだで遺産分割協議が必要です、母親が認知症の時は簡単にできません
・その売却代金を施設の支払いにあてることができます
・両親が死亡の時まで信託契約は続きます
・母親が死亡した時に残余財産の帰属先として長男を指定しておくことができます、長男が母親より先に死亡していれば次男、としておきます
・長男が信託契約の期間中に死亡した時は、次男が引き続き受託者の地位を引き継ぎます

 

 

両親が万が一施設に入るようになったときでも、判断能力がなくても、自宅を売ってお金を作ることができます

ただし、父親母親がすでに認知症になってしまっている場合には
①任意後見契約の締結→できません
②遺言書作成      →できません
③生前贈与、生命保険等による生前対策、相続対策→できません
④家族信託契約    →できません
⑤法定後見制度の利用→できます

認知症になってからでは①から④の対策がとれなくなってしまいます

⑤の法定後見制度の手続きをしたとしても、成年後見人が家庭裁判所の許可を得てからでないと自宅の売却ができません。
場合によっては、許可が出ないケースも当然ありえます。

家族信託を利用すると、委託者が認知症になっても、自宅の名義を受託者に変更します

自宅が受託者の名義になっていますので、受託者が自宅を売却することが出来ます。
成年後見人のように家庭裁判所の許可は必要ありません。

信託契約は非常にすぐれた柔軟性のある契約といえます。

 

一度、検討してみてはいかがでしょうか。

両親が元気なあいだに

 

最後までご覧頂きましてありがとうございました。

 

 

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