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相続対策 遺言書作成

どこまで知ってる?失敗しない遺言書作成のポイント③ 応用編

投稿日:2018年8月14日 更新日:

遺言書は書いたら終わりではなく、遺言書に書かれた内容が実現されてはじめて意味があります

 

どこまで知ってる?失敗しない遺言書作成のポイント②基本編では自筆証書遺言の例を出して

自筆証書遺言の作成についてのポイントを説明をしましたが、今日は、もう少し違った事例でより詳しく解説します。

まずは、家族構成を見ていただきます

太郎の家族関係図・全財産

 

遺言者 法務太郎の思い・・・自分の死後、兄弟で平等に財産を分けてもらいたい  

この記事の目次

この家族構成で太郎は、どのような遺言書を作成すればいいでしょうか。

遺言書
私、法務太郎は子供がいないので将来、私の死後、無用の争いがおきないように次のとおり、遺言する。

           記
第1条 マンション一棟を遺言者の弟である次郎に相続させる
第2条 金1億円を健志郎に相続させる
第3条 金1億円を小次郎に相続させる
第4条 遺言執行者は次郎を指定する

平成30年8月14日

住所 京都府宇治市広野町一里山65-3京都建物クレスビル401号
氏名 法務 太郎  

 

この、簡単な自筆証書遺言は、細かい部分は省いていますが、将来において揉め事が発生しないように、平等に相続させていると思います。
細かい部分というのは「その他一切の財産」の相続する人の条項であったり、「祭祀承継」について記載されていません。
ただ、主要なところはきちんと書かれています。このように、相続人が兄弟だけでの場合、遺言書も簡単に作成できます。

では、家族構成が変わって、太郎に奥さんがいると、どうでしょうか?

太郎に妻花子がいる場合

遺言者 法務太郎の思い・・・代々引き継いできたマンションは将来、兄弟に相続させたい、花子が生きている間には全財産を花子に相続させたい

奥さんがいるのといないのでは大幅に遺言書の内容が変わります。

ただ、マンションを一度、花子に相続させてしまうと、太郎の死後、花子と次郎、健志郎、小次郎とは相続関係がありませんので、花子が死亡すると遺言書を書いておかない限り、次郎、健志郎、小次郎がマンションを相続することはできません。

 

太郎の気持ちが「花子が生きている間は、花子に全財産を、花子が死んだ後は、兄弟で分けてもらいたい」という考えがある場合には、家族信託を利用することを検討しましょう。本気で相続対策をしよう、と考えていらっしゃる場合には、家族構成によっては専門家の関与が必要です。

一般の方はご自分だけで話をすすめることは避けたほうがいいと思います。

 

専門家は、どう考えるか

依頼者の考え方、希望を一番に優先しますが、税金や他の手法も考慮しながら、相続対策を考えていきます。太郎の財産は合計3億円もあります。このままでは、相続税の控除額をはるかに超えていますので、相続税が発生する可能性が非常に高くなります。

太郎の相続人は、花子、次郎、健志郎、小次郎の4名
控除額は3000万円+600万円×4名=5400万円

まず、相続の課税対象になる財産を減らすことを考えます

決して、財産をすてることではありません。さらに、財産の評価を下げることを考えます。

具体的に説明しますと

まずは生命保険を利用します。生命保険については 相続人の数×500万円までは課税対象外となります

すると4名×500万円=2000万円 預貯金2億円から減らすことが出来ます。(預貯金残り1億8000万円)

それでも、まだ、相続税がかかりそうなので、預貯金を別の財産に替えることを考えます。

自宅を新築する
賃貸アパートの建築

これも、かなり効果的な方法といえます。土地を購入(2000万円)して自宅を新築(2500万円)すると、4500万円で新築すると建物については翌年からいきなり、自宅の固定資産税評価額がドン、と下がります。仮に建物固定資産税評価額が1000万円になったとしても、それだけで、1500万円減らしたことになりますね、さらに建物は減価償却されていきますので、固定資産税評価額も3年に1度の見直しで評価額は必ず下がっていきます。

(預貯金残り1億3500万円)

10年後には500万円ぐらいになっているかもしれません。さらに賃貸アパートの建築(土地3000万円建物7000万円)で1億円使うと(預貯金残り3500万円)

土地3000万円、建物固定資産税評価額が2500万円ぐらいとしても、賃貸アパート建築だけで4500万円も減らしたことになります。

これだけの対策で3億円あった資産状況が

預貯金 3500万円
不動産  自宅 土地2000万円+建物1000万円 合計3000万円
新築アパート土地3000万円 建物2500万円 合計5500万円
一棟マンション 1億円
生命保険 2000万円

合計 2億4000万円

生命保険については、相続税の課税対象から外れます

さらに、自宅については、小規模宅地の特例で評価が下がる可能性がありますが、土地は路線価、建物は評価額の合計額が2000万円を下回ったところで居住用不動産の夫婦間贈与の特例を使って所有権を移転する、という方法も考えられます。アパートについても評価が下がります。

 

まとめ

このようにして、評価を下げていくことが専門家が関与することによるメリットとして考えられます。(税金面については税理士と一緒に考えていきます)預貯金が少なくなって心配と思われるかもしれませんが、新築アパートによる家賃収入が見込まれます。これらのことをトータルで考えた上で相続対策の手法を考える必要があります。遺言書を作る、生命保険に加入する、生前贈与の非課税制度を利用する、家族信託を利用する、任意後見契約を利用する等、色々なメニューの中から、組み合わせて最適な方法を選んでいきましょう。

 

本日も元木司法書士事務所では、相続登記のご依頼をいただきました。そのお客様も対策が必要なお客様であったので、様々な方法を説明いたしました。

ただ、今の日本の現状としては人口減少傾向にあります。駅前の一等地であれば、問題はないと思いますが、人口減少によるアパートの空室リスクを考えるとこれから先は別の方法で相続対策を検討しないといけないのかもしれません。

このように、専門家が対策をとる場合には、将来的な相続対策、リスクを含めて検討していきます。

 

元木司法書士事務所では、ライフプランを総合的に考えることが出来るファイナンシャルプランナーが相談に対応しますので興味がある方は一度ご相談ください。

最後までご覧頂きましてありがとうございました。

 

 

 

 

-相続対策, 遺言書作成

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