絶対に失敗しない相続対策 元木司法書士事務所備忘録

京都市・宇治市・城陽市・京田辺市・滋賀県・大阪府・奈良県で主に活動する司法書士の業務とタイムリーな情報発信 相続手続、遺産整理、遺言書作成サポート、各種会社設立登記及び変更登記、任意後見契約サポート、相続対策に関する専門家のブログです。一日10分、10日で相続対策。

相続手続全般 遺言書作成 業務関係

相続についてどこまで知ってる? 相続基礎知識 遺留分について物語から理解してみよう

投稿日:2018年8月3日 更新日:

本日は、遺留分について解説をしていきたいと思います

 

遺留分とは

遺留分とは相続人が法律上取得することを保証されている遺産の一定額のことをいいます。この遺留分の制度は、被相続人の自由な財産の処分を保障する一方で、残された相続人の相続期待権を保護し、また、相続人の生活を保障するため、遺留分制度があります。

 

遺留分を有する者

遺留分を持っている相続人は次のとおりです

被相続人の兄弟姉妹を除いた法定相続人である配偶者、子、直系尊属に認められています(民法1028条)

総体的遺留分という被相続人の財産における遺留分権利者全員の合計割合を把握した上で、各相続人の個別的遺留分を計算することになります

上記の一覧表は相続人の総体的遺留分が記載されています

 

では、次のような家族構成で被相続人法務太郎が全財産を赤の他人である良子に遺贈した場合に、相続人全員の総体的遺留分と各相続人の個別的遺留分はいくらになるか、分かりますでしょうか。

 

太郎が良子へ全財産を遺贈

このケースでは、被相続人法務太郎の相続人は妻 花子と子 次郎の二人です。太郎は恩人である良子に全財産を遺贈する、との遺言書を作成していましたので、花子と次郎はこのままでは、相続する財産がありません。

 

以下の物語のやりとりから、遺留分、遺言書、その他の法律について理解してみましょう

 

ある日のこと

 

平成30年8月2日、突然太郎が死亡してしまいました。死因は熱中症でした。

妻の花子はたいへんなショックを受けましたが、まだ、小学生の子供 次郎もいて、落ち込んでばかりはいられませんでした。

花子はお通夜、葬式をとどこおりなく済ませ、自宅の片付けをして、遺品を整理していたところ、[遺言書]と書かれた封筒が目に飛び込んできました。

封筒が封印されていなかったので花子は、中にあった紙を取り出し、読んでみて愕然としました。

 

全財産を良子に遺贈する太郎の遺言書

 

内容を見てみると、「私、法務太郎は全財産を私の恩人である・・・良子に遺贈する」との内容が書かれていました。

日付を見ると、平成15年8月2日、花子が太郎と結婚する以前の日付になっています。全文が自筆で書かれてあり、名前の後ろにちゃんと印鑑が押されていました。日付もきちんと書かれています。

 

 

この良子さんというのは、太郎が学生時代に何もする気力がわかなかったころに出会って色々と悩みを聞いてくれて、太郎に生きる希望を与えてくれた方でした。太郎は良子さんにとても感謝していて、生前にその話を花子にもしていました。

ただ、太郎は大学を卒業して就職して、すぐに自筆証書遺言を作ったのですが、その遺言書の存在を忘れていたのでした。

 

 

花子はこわくなって、「10年以上前の遺言書だから効力はないよね。捨ててしまおう」と、内心思いましたが、ふと不安になったので、知り合いの元木司法書士事務所に相談予約の電話をしました。

 

相談日は太郎の死後、約4カ月後である平成30年12月1日

 

花子は、元木司法書士に相談しました。

花子「主人が急に亡くなって、こんな内容の遺言書が出てきたんですが、これって結婚前だし、10年以上も前に作られているので効力ってないですよね」

元木「・・・」

花子「こんな遺言書が有効なのであれば、このままでは、生活が出来ません。なんとかならないでしょうか」

元木「遺言書に有効期限はないんですが・・・・」

「ただ、花子さんと次郎くんには総体的遺留分が2分の1認められていますので、花子さんだけで4分の1、次郎くんも4分の1請求できますよ」

「良子さんへ遺留分を請求されてはいかがですか?」

と伝えました。

 

続けて

「総体的遺留分は全財産の2分の1ですので不動産5000万円、預貯金3000万円のうち4000万円は権利があります」

「個別的遺留分は花子さんが2000万円、次郎くんも2000万円ですね」

「でも、遺言書を捨てずに思いとどまってくれて良かったですね」

花子「?」

元木「遺言書を捨てられると、相続する権利がなくなってしまうんですよ。相続欠格事由という法律の規定がありまして、その中に遺言書を破棄したり、偽造したら相続人の資格がなくなるんですよ。」

 

 

その説明を聞いた花子さんは、遺言書が有効なものと知って、がっかりしましたが、太郎の恩人である、ということがあったので仕方なく、まずは自筆証書遺言は、家庭裁判所に検認手続をしないといけない、ということを聞いて、遺言書検認申立書作成を元木司法書士事務所へ依頼しました。

 

花子は、遺言書の検認手続の申立書を家庭裁判所に提出して、すぐに「良子」さんに手紙を送りました。

「太郎が亡くなったので恩人である良子さんに、話がしたい」

 

手紙を送って、良子さんの夫からすぐに電話がありました

良子の夫「実は、昨年の夏に良子は事故で亡くなりました。・・・・」

花子はその電話の後に、元木司法書士事務所へ連絡しました。

 

花子「良子さんが去年亡くなってたようです。この場合、遺言書はどうなりますか?」

 

 

という物語

 

 

この一連の中で、専門家は花子の相談に対して、どこを注目して話を聞いているか、というと5つポイントがありました

1全体的な流れ

2遺言書の内容 有効なものかどうか、予備的遺言の条項の存在 太郎の出生年月日

3死亡時期、遺言書の発見時期➝遺留分減殺請求ができるかどうか

4受遺者良子の死亡

5相続欠格事由に該当しないかどうか

 

 

全体的な流れ

1の全体的な流れというのは、実はさほど、重要視していません。ただ、話をしっかり聞いていないと、後から出てくる情報について花子に質問すると、「それは先ほど言いましたよ」ってことになりかねないので、矛盾が生じていないかどうかについて、耳をかたむけています。

 

 

遺言書の内容

2の遺言書の内容は非常に大事なポイントで、しっかりと話を聞きます。遺言書がすでに開封されているのであれば、確認させてもらいます。

というのも、

自筆証書遺言は費用をかけずに簡単に作成できる反面、「印鑑は後で押せばいいや」、「まだ完成していないから日付は専門家に見てもらってから入れよう」、など不完全であるケースが時々あります。不完全な遺言書は無効となります。

 

遺言を作成できる年齢というのも法律で定められています。

 

十五歳に達した者は遺言をすることができる。(民法961条)

 

太郎さんは昭和57年1月1日生まれですので、平成15年8月2日には成人していますので、有効に遺言書を作成することが出来ます。

 

 

今回の話では、結果的に「良子」さんが亡くなっていましたが、

自筆証書遺言には、予備的遺言の条項が記載されているケースは今まで見たことがありませんが、万が一次のような条項があると

 

「万一、受遺者である良子が遺言者である太郎より先に死亡していた場合、また、遺言者と同時に死亡したとされる場合には、全財産を良子の配偶者に遺贈する」

 

太郎の財産は良子の配偶者に遺贈されることになります。

 

そして、花子と次郎は、良子の配偶者に対して遺留分減殺請求をすることになります。

 

今回の物語では、予備的遺言の条項がありません。

 

 

遺留分の計算方法

このケース、遺留分についての計算ですが、妻花子と子供次郎が相続人となりますので、総体的遺留分は太郎の8000万円の財産に対して2分の1あります

なので4000万円が総体的遺留分の額になります

 

そして個別的遺留分については、それぞれ計算していきます

計算方法としては総体的遺留分×法定相続分をします

 

花子 4000万円×2分の1=2000万円

次郎 4000万円×2分の1=2000万円

 

花子と次郎はそれぞれ2000万円の遺留分を請求する権利(遺留分減殺請求権)があります

 

仮に、太郎と花子に子供が二人(次郎と三郎)いた場合には、法定相続分は花子2分の1,次郎と三郎は二人で2分の1

そして、総体的遺留分としては2分の1

個別的遺留分は

花子 4000万円×2分の1=2000万円

次郎 4000万円×4分の1=1000万円

三郎 4000万円×4分の1=1000万円

となります

 

遺留分減殺請求権

遺留分減殺請求権とは、遺留分権利者の法律上認められた遺留分を保護するための制度です。

 

遺留分権利者及びその承継人は、遺留分を保全するのに必要な限度で、遺贈及び前条に規定する贈与の減殺を請求することができる。(民法1031条)

 

相続人は自分の遺留分を侵害された場合に、自己の遺留分を保全するのに必要な限度で、贈与や遺贈などの減殺を請求することができます。

遺留分は相続人に保障された権利です。遺贈等を受けた者は、相続人に法律上与えられた最低保障である遺留分を相続人から請求された場合には拒否することはできません。通常は話し合い、調停、裁判上で請求することになります。

 

 

死亡時期と遺言書を発見した時期

死亡時期と遺言書を発見した時期というのは、遺留分減殺請求ができる時期というのが法律で決まっています。

 

減殺の請求権は、遺留分権利者が、相続の開始及び減殺すべき贈与又は遺贈があったことを知った時から1年間行使しないときは、時効によって消滅する。相続開始の時から10年を経過したときも、同様とする。(民法1042条)

遺言書を発見して、一年以内に遺留分減殺請求権を行使しない、もしくは太郎が死亡してから10年経過すると遺留分の請求ができなくなる、ということになります。

 

受遺者良子の死亡

今回のケースでは、良子が太郎より先に死亡していました。そして、予備的遺言の条項がありませんでしたので、結果的には遺言書は効力がありません。

ということで、花子と次郎は太郎の全財産を相続する事ができます。

 

相続欠格事由

相続欠格事由とは民法891条の条文で以下のように規定されています

  • 故意に被相続人、先順位・同順位の相続人を死亡するに至らせ、または至らせようとしたために刑に処せられた者
  • 被相続人の殺害されたことを知って、これを告発せず、または告訴しなかった者
  • 詐欺・強迫により、被相続人が相続に関する遺言を作成・撤回・取消し・変更することを妨げた者
  • 詐欺・強迫により、被相続人に相続に関する遺言を作成・撤回・取消し・変更させた者
  • 相続に関する被相続人の遺言書について偽造・変造・破棄・隠匿した者

 

今回、花子さんは遺言書を捨てるのを思いとどまってくれたので、相続欠格事由には該当しません。

 

めったに、実務上ではお目にかかることがありませんが、全くない、ということではありません。

 

当事務所の経験では

「故意に被相続人を死亡するに至らせ」

「相続に関する被相続人の遺言書について破棄した者」

というのは、経験があります

 

ちょっとこわいですが、実際にあるんですよ。

 

 

最後までご覧頂きましてありがとうございました。

 

 

 

 

0

-相続手続全般, 遺言書作成, 業務関係

執筆者:


comment

メールアドレスが公開されることはありません。

CAPTCHA


関連記事

相続人の調査・確定 京都相続手続きサポート

人が亡くなると、誰が財産を相続するのかという相続人の確定作業が必要になります。配偶者と子ども二人がいる場合、ご遺族の方は、配偶者1人、子ども2人で確信していますが、法務局や銀行は、本当に相続人が3人な …

これは便利!法定相続情報を使って登記申請、相続で凍結された預金の払い出しを同時にしてみました

最近、当事務所において相続案件、遺言書作成、相続対策、成年後見のご相談が急増しております。 大事なご家族の方がお亡くなりになって、すぐに元木事務所へご連絡頂き、ご相談頂けるということは、司法書士として …

遺言執行者に誰がなる?

遺言執行者には多くのケースでは遺言書作成を依頼した司法書士や弁護士が遺言執行者に就任するケースが多いかもしれません。ただ、一般の方でも遺言執行者に就任することができます。そして、相続人への財産目録の交 …

これだけはおさえておきたい 会社を設立することのメリット デメリット 消費税にも影響があるって知ってた?

世の中にはお金儲けのために会社を設立する方もたくさんいます。 会社を設立する理由は、税金面で有利、社長になってみたい、世の中に自分の名前をとどろかせたい、など動機は様々です。 他にも、法人化することで …

遺言書作成、相続手続、贈与の手続、会社の登記手続を失敗しない

本日は、最近多いのですが、お客様ご自身が登記手続きや遺言書の作成手続きをされたときの話です。   ただし,登記申請によっては,内容が複雑なものや,税金と密接な関係のある登記手続、多くの書類( …

LINE@からの無料相談はじめました

ここを押してLINEで友だちになりましょう

スマホからLINE@ですぐに無料相談できます

元木事務所のLINE登録方法は

LINE公式アカウント「その他」➝「友だち追加」➝「QRコード」→下記QRコードを読み取り登録

もしくは

LINE公式アカウント「その他」➝」→「友だち追加」→「ID検索」→「@ntk6123x」で検索して登録

アクセス

京都府宇治市広野町一里山65-3
京都建物クレスビル401号
元木司法書士事務所
TEL0774-45-5660